幽霊に取り憑かれた花子

統合失調症患者の妄想と現実

詩「変わらないもの、変わるもの」。担当の看護師さんとの関わり。

 こんにちは。花子です。

 

 まずは詩です。

「変わらないもの、変わるもの」

変えられないところを変えようとしていた

変えなくてはならないところを変えようと思えなかった

変えられるところと変えられないところの区別がつかなかった

 

私はみんなと同じように大人になっていけなかった

自然に流れるように成長していけなかった

大きな挫折を味わった

みんなと同じ道を前を向いて歩いていたら、大きな穴に落っこちた

そこから這い上がることができなかった

まっくらで何も見えない

自分さえ見えなくなりそうになりながら、もがいていた

穴を抜け出して、また元の道に戻るのは不可能なのだと、だいぶたって気づいた

 

穴の中でもう生きられないと、泣き暮らしたこともあった

安全だった家でさえ、早くみんなと同じところに戻ってこいと、脅してくる怖い場所のように感じた

いつもどこにいても、自分をみんなと同じになるように変えなさいと、誰からか、何からか、言われている気がしていた

この世に安全な場所がどこにもなかった

 

誰も私を責めはしなかったが、私が自分を責めていた

こんなことでどうする、生きてる価値がお前にはあるのか、と

自分の中に自分の生きてる価値が見出せなかった

そうしたら誰に必要とされていても、もう死ぬしかないような気になってくるものだ

でも、それでも希望を捨てないで、自分が自分を認められる日がくることを願って、自分を一から立て直した

 

自分を見つめるうちに、自分の中の嫌なものを全部見た気がする

こうなりたいという自分が出てきたが、どれだけ言い聞かせても、頭では分かっているのに心がついてこなかった

人を見下したくなかったのに、自分が一番偉いだなんてことあるはずもないのに、そう思ってしまう自分がいた

どうしたら変えられるか分からなかったが、努力した

何がどう功を奏したか分からないが、自分の中の高慢な心はなくなったようだ

自分自身をまっすぐに見つめ、現実を受け入れられるようになった気がする

 

私は他人から見れば落ちこぼれだ

誰がどんなに励ましてくれようとも、私が底辺にいることに変わりはない

穴に落ちた時からずっと暗闇を歩いてきた

みんなよりも低いところを、時には立ち止まり、時には走ってみたりして、上に這い上がれる日が来ることを心待ちにしていた

でももう這い上がろうとするのはやめた

低いところを歩いていく

それが私の中の変わらないこと

変えようとしても変えられないことなのだ

 

私の道はみんなと同じ高さのところには、本当ははじめからなかったのかもしれない

はじめから落ちる運命にあったのだ

でもみんなと違う道であっても、これが私の道

そうやって歩いていたら、私もようやく大人になってきたよ

そういう自分は変わってきた

変えられないところは変えようとしなくていい

変えられるところを変えていこう

そうしていくうちに大人というものになれるのかもしれない

 詩はここまでです。

 

 さて、いつものです。

 不思議と担当の看護師さんとの散歩はありませんでした。この看護師さんの勤務時間の関係で、タイミングが合わなかったのだと思います。それに幽霊が出て行ってからだったので、症状がないように見えたのだと思いますが、そのおかげで割とトントンとひとりで外に出られるようになったからだと思います。

 でも担当の看護師さんはよく私の様子を見てくれていたと思います。この看護師さんには一冊の本を貸してもらいました。どんなことが書いてあったのかはもう忘れてしまいましたが、人の心を打つようなことが書いてあったと思います。残念ながら私の心は打たれませんでしたが。私の心を打つことは私の外にはほとんどないのです。自分で考え出すしかないのです。もっと後になって

「私も借りた」

と言っていた患者さんもいました。色んな人に貸していたようです。

 ちょっと便秘気味だったので下腹がぽっこり出ていました。この担当の看護師さんに

「おなかが出てるんですよ」

と言うと、ちょっとぽっちゃりしていたこの看護師さんは

「出てないよー。大丈夫だよ。私なんかほら」

と言っておなかを触らせてくれました。この看護師さんには私の思いがなかなか届かなかったようです。

 今日はここまでです。

 

 最近の幽霊さんはもういつもと同じで特に書くことがありません。少しづつ出てくる時間は減っています。でもまだ一日出なかった、という日はないのです。もう少し、もう少し、といつまで思えばいいのでしょう?たぶん本当にもう少しだと思いたいです。