幽霊に取り憑かれた花子

統合失調症患者の妄想と現実

季節の移り変わりに過去を感じる。詩「制服」。一回だけショートケア。

 こんにちは。花子です。

 前は冬になると、高校3年生の頃のあの冬を思い出していたのに、今は小春日和の日に入学式や新学期のことを思い出しています。高校3年生のあの冬はとても苦しく、でもそれまでの自分がしたことのないようなことをしようとしていた時でした。勉強ができなくなり、学校にも毎日通うことが難しく、休みながらも必死に通学していました。そこで担任の先生と面談をしてもらいながら、なんとか出席日数が足りるようにしていました。その先生のおかげで休む日を少なくできたのでした。面談といっても、その時の私は泣くことばかりしていて、まともに話すことができていませんでした。それでもその時間があったからこそ、なんとか学校に通えていたのです。

 私は学校が嫌いです。もうあんな場所には二度と行きたくありません。だから8年通ったデイケアも辞めてしまったのです。やってることは違うし、学校ほど嫌でもなかったのですが、やっぱり私にはどこかに通って、みんなと何かをするということが苦痛になるようです。いずれにせよ、デイケアに通って、卒業してどこかに就職する、ということは私には無理なのでした。それならデイケアに行く理由も分からないし、苦痛になるなら、人と関われなくても、家族とだけ関わる人生でもいいやって思ったのです。将来独りになって、人生をそれで終えるとしても、今の私は少しは覚悟しているつもりです。でも本当は独りになりたくないから、誰か良い人が父母がいなくなってから現れることを願っています。

 ずっとあの冬の後を追って生きていました。あの時を卒業して、新しい人生を生きる、ということができずにいたのです。でも日が経つにつれて、その感覚もだんだん変わってきました。秋から冬のあの感覚はなくなり、少し暖かい小春日和に新学期を思い出すようになったのです。高校の頃ばかり思い出して、後悔ばかりしていたのに、今は過去のことを満遍なく思い出しているような気がします。これが今を生きているということでしょうか。私はずっと今を生きたいと思ってきました。その願いが叶ったということでしょう。過去を思い返して後悔することがなくなったわけではありません。でも高校時代にばかり執着することがなくなってきたのです。幽霊さんがいなくなれば本当に私は新しい人生を生きることができます。どうかその時がもうすぐやってきますように。

 

 まずは詩です。

「制服」

もう過ぎ去った過去

あの時と同じ道

あの時と同じ制服

でも違う

もう私には関係のないこと

 

楽しそうに帰る少年少女達

そこに私を重ねた

でも重ならなかった

あの子達とは違っていたのだ

 

青春に青春してなかった

ただもう早く終わることを望んでいた

なんてもったいないことをしたのだろう

友達がほしかった

部活をして楽しみたかった

青春を謳歌したかった

 

あの時と同じ制服に身を包む少年少女達の中にあの子達を探している

もう私の知らないところで、知らない生活をしているのに

私ももうみんなの知らないところで、知らない生活をしている

学校はあの頃と同じままではない

知り合いはもういない

あの時の制服を着ているのはあの子達ではないのだ

みんなあの制服は脱ぎ去ってしまった

私だって着ていないはずなのに、新しく着る服が見つからない

 

あの時と同じことはもうしたくない

なのになぜか戻りたいと思ってしまう

あんな自分本来の自分ではなかった

みんなの中にいる私は私ではないのだ

あの時の私は私じゃない、偽物だ

本当の私はここにいる

みんなの知らないところで生きている

 

あの時ああだったからこそ、そこから学んだ今の私がいる

あれを通過しないと本来の自分には戻れなかったのだ

卒業してもなかなか処分できなかったあの制服

もう着れないとなると寂しかった

 

今でも夢に見る

あの時のあの子達と楽しんでいる

もう戻ってこないのに

戻りたいと望みたくないのに

もう新しい生活があるから、忘れていたいのに

 

今でも見かけるあの制服

みんなはもういないと分かっているから、どうか私に忘れていさせてほしい

あの制服に身を包んでいたということを

 詩はここまでです。

 

 さて、いつものです。

 退院して間もない頃は母と一緒に診察を受けていました。だからショートケアにも母と一緒に行きました。ショートケアに来ていた人は3人だけでした。予定ではもう少し来るはずだったみたいです。まずしたことは三角に折った紙に名前を書くことでした。それから時間になったので、ショートケアというものが始まりました。

 最初に作業療法士さんがストレッチを教えてくれました。席の関係からか、私はこの作業療法士さんとやることになりました。2人1組になってするストレッチだったのです。ひとりが椅子に座って、もうひとりが座っている人の顔の横でLの字に曲げられた腕の手を持って後ろにひっぱるというのをやりました。私は力の入れ方がなんとなく分かっていたので、涼しい顔をしてひっぱっていました。母が言うには、この時作業療法士さんは必死になっていたそうです。作業療法士さんは

「よく力が入っていてオッケーです」

と言っていました。その他にも色々やりましたが、もう忘れてしまいました。

 それから精神保健福祉士さんからお話があって、最後に感想をいう場面がありました。私はこの時何としてでも働けるようにならねばと思っていて、そのためにはデイケアに通えるようにならないとと思っていたので、

デイケアにぜひ行ってみたいです」

と言いました。そうしたら他の2人も似たようなことを言っていたので、精神保健福祉士さんが

「なんかデイケアの宣伝になったみたいだね」

と言っていました。

 デイケアの看護師さんも来ていて、次回はこの看護師さんからのお話があるということでした。でも私は2回目以後のショートケアには行けませんでした。なぜならまた幽霊が入ってきたからです。

 今日はここまでです。

 

 最近の幽霊さんはたまにする料理中に左足を震わせてきます。しかも皮を剥くという危険な時に限っていやがらせをしてくるのです。乗っ取られ感は少なくなりました。もう本当にもうすぐいなくなると信じて毎日を過ごしています。新しい人生を始めたいなぁ。