幽霊に取り憑かれた花子

統合失調症患者の妄想と現実

本当の不幸を知らない③(完結)。詩「寒空と雨と涙」。

 こんにちは。花子です。

 

 前回の続きです。

 高校時代の私はおかしかったです。今の私なら分かります。あれは本来の私ではないと。でもあの時は私ってそんなものかなと思っていました。そして絶望していました。でも一番絶望してたのは、高校を卒業してからです。まだ高校生という肩書きがあった時はそれだけで安心感がありました。でも卒業したら何にもなくなってしまったのです。フリーターにすらなれませんでした。

 アルバイトはしようとしたことがあります。でも一日で限界でした。泣きながらパン工場で型を交換する仕事をやり、その日でやめました。他にも少しだけ面接に行きましたが、全部駄目でした。私には働く能力がないと、それまでにも薄々は感じていましたが、その時はっきりと分かりました。そしてそれから本当の不幸がやってくる、と言いたいところですが、今から振り返ると、自分でどうにかできる不幸でした。本当の不幸は家族が若くして亡くなるとか、借金まみれで風俗で働かされるとか、自分ではどうにもならないものを言うような気がします。そうではないかもしれませんが。

 とにかく私は何もできずに、ただ元の自分に戻ろうともがき苦しむ時期がやってきます。その時のことは前にも少し書いたので、ここでは省きます。

 それからです。幽霊さんが入ってきたのは。またも絶望感に苛まれます。特に入院中はもう人生終わった感がありました。幽霊さんにいやがらせをされて、一生恥をかいて生きるのかもしれないと思ったこともありました。でも不幸は続きません。幸せを求めていたらやってくるものなのです。もう幽霊さんもいなくなりそうですし、最近ちょっと元気です。憂鬱になることがなくなってきました。

 私は本当の不幸というものを知らないまま人生を終えることになりそうです。そう願っています。私はずっと、形は変われど、幸せに生きていくのだと思っています。ただの願望だと言えばそうですが、きっとそうなると信じたいのです。私にはあまり能力がありません。そんな私でも、私にできる僅かなことをしているだけで、生きていけるようになっているようです。頼れる人はいっぱいいます。いずれはひとりになると思いますが、それはそれで楽しい毎日です。暇になったら、毎日デイケアに行けばいいのです。

 自分が死ぬことを思えば少し悲しくなりますが、死ぬ頃には受け入れられているような気がします。というかそうであってほしいのです。

 3回にわたって私が何を書きたかったかというと、私は本当の不幸を知らない、ただそれだけのことです。苦労はしましたが、それも人生の彩りの一つ、そう思えるような気がします。これから良い未来が待っています。そう信じて生きていきたいです。

 

 さて、今日は第一月曜なので、詩を書きたいと思います。

「寒空と雨と涙」

寒い曇り空があの時の感覚を思い起こさせる

つらかったあの時

ひとりあの道を歩いた

暗い道を心に雲を抱えながら

その雲が私の心にかかって、今にも雨が降り出しそうだった

 

実際に降った雨は涙

私の目からぽたりぽたりと落ちていく

 

寒いこの空気があの頃を思い出させる

悲しかったあの頃

また私はひとりで歩いていた

私の中の雲が分厚くなるのを感じながら

そして私の心にかかった雲はどうやったら晴れるのか分からなかった

 

そうやって降った雨は涙

またもぽたりぽたりと落ちていく

 

雨がいつかは晴れることを知ってはいても、とめどなく流れる涙

それを止める術を知らずに、ただ下を向いて、しずくが滴れるのをぼんやりと眺めていた

雨と涙との区別もつけられずに

 

降り続く雨、いや涙なのか?

雨雲はどんどん大きくなる

空の雲も私の心の雲も、雨をたくさん抱えている

こらえきれなくなって雨が降る

止められずに、涙を流しながら、私はあの道を歩く

 

止められず降った雨は涙

ぽたりぽたりと落ちていく

私はそれをただ眺めているだけ

 

地面にしみができる

それが雨なのか涙なのかは分からない

地面をしずくが浸していく

雨と涙はもう区別がつかない

 

でも空が晴れれば、心が晴れれば、地面も必ず乾いていく

またいつもの道ができる

私は胸を張ってその道を歩くことができるだろうか?

いつかきっと歩いているよ

私はそう信じている

 今日はここまでです。

 

 最近の幽霊さんはまだ寒いので全身をガクガク震わされます。手足の震えもまだあります。ずっとずっとあともう少しだと思ってきました。時にはもう限界だと思いながらも、今まで生きてきました。これからも生きていきますが、幽霊さんがいたら、かなりつらいです。今度こそもう少しの辛抱だと思って、毎日を過ごしていきます。