幽霊に取り憑かれた花子

統合失調症患者の妄想と現実

それほどしんどくない。詩「解放」。入院がつらくて泣いていた(退院したい)。

 こんにちは。花子です。

 最近は良い感じに毎日を過ごせているような気がします。前みたいにしんどいのがなくなってきました。しんどいなぁという時は横になって休んだりしているし、大してやることもないので、毎日をゆったりと過ごしています。読書もできるようになってきました。もうデイケアに行かなくていいとなると、肩の荷が下りて、しんどくなることもなくなったのです。デイケアに行くとしんどくならされることが多かったです(幽霊さんに)。でももうそれもありません。もう幽霊さんはいなくなるのです。先生も時間の問題ですねと言っていました。これからは毎日楽しく生きていくのが目標です。

 

 まずは詩です。

「解放」

あの頃はいつもひとりで帰っていた

友達らしい人はいなくて、誰かと一緒にいても、私はひとりな気がしていた

今から思えば普通の私じゃなかった

でもその期間が長すぎて、そんな自分が通常なのだと勘違いしていた

 

学校では私はいつもひとりだった

そんな自分が自分なのだと疑いもせず思い込んでいた

まさかこんな私が本当の私だなんて、誰が想像しただろう

どうしてあの大切な時期に本来の私でいられなかったのだろう

 

もう逃げたかった

学校から逃げたいと思っていたと思ったが、もしかすると異常な、本来とは違う自分から逃げたいと思っていたのかもしれない

でも学校では本来の自分でいるなんて許されなかった

学校とはそういうところだ

私が私らしくいられないのが学校だったのだ

 

そんな学校からの帰り道があの時の私には一番好きだと思えた時間だった

行きたくなかった学校から解放されて、宿題もまだしなくてよくて、すべての負担から解放されていた時間だった

 

「解放」

学校時代の帰り道をそう名付けようと思う

「解放」の時間は何もしなくてよかった

自由だった

学校のことなんて忘れていられそうだった

現実には頭の中は学校で起きたことがグルグルしていたのだが

頭の中はそんなでも、ただ歩いていたらいいだけの時間であったことは確かだ

何かをしなければならないという圧力もまだなかったし

 

家に帰ればほっとするが、同時に宿題ができるという環境に身を置くことで、宿題という圧力がかかる

しかし帰り道はその圧力がかからない

だってできないのだから

 

学校時代はやらなくてはいけないことばかりで、ゆとりがなかった

帰り道は「解放」だったが、やっぱり家に帰ると勉強しなければならないというのが、頭のどこかにあった

帰り道だけじゃなく、一日中学校から解放されたかった

それ以外何も考えられなかった

将来のことを考えるゆとりがなかった

 

どうして私はこんなんなんだろう

あの「解放」の時にはこんなこと思わなかった

でもようやく解放されて、本来の自分に戻れて、やっと自分の人生を生きることができるのだ

私の人生「解放」されてはじめて始まるような気がする

まだまだこの先、人生長いぞ

 詩はここまでです。

 

 さて、いつものです。

だんだん入院しているのがつらくなってきました。絵を描いていても胃のあたりが少し痛むようになりました。もう耐えきれなくなって、入口で人の出入りをチェックしていた看護師のMさんに

「早く退院したいです」

と泣いて言いました。するとMさんは詰所まで私を連れて行き、

「僕仕事できないから、誰か話聞いてあげて」

と言いました。ちょっと話を聞いてもらったのでしょうか。でも話なんかなく、ただ退院したいだけだったのですが。

 とりあえずちょっと落ち着いた私は自分の部屋に戻り、泣きながら荷物の整理をしていました。すると看護師のTさんが来て、開いていた扉をトントンと叩き、

「散歩行こうか」

と言いました。その姿がとてもかっこよく見えました。Tさんには朝に

「また散歩に連れて行ってください」

と言っていました。Tさんは

「今日の担当はAさんなんだけどな」

と言っていましたがTさんが連れて行ってくれることになったようです。

 Tさんは

「何か欲しいものある?」

と訊いてきました。私はこの時、私もいつか働くのだから目が見えてなかったらいけない、でも眼鏡は嫌だ、だからコンタクトレンズにしよう、と思っていました。だから欲しいものを訊かれて、私は

コンタクトレンズ

と言いました。するとTさんは

売店コンタクトレンズはないな」

と笑って言いました。それから散歩に行きました。

 Tさんは私がTさんとの最初の散歩の時、外に出られてうれしいと泣いたことを言って、

「あんな風に普段当たり前だと思っていることの大切さに気づけるのは大事なことだと思う」

と言ってくれていました。

 今日はここまでです。

 

 最近の幽霊さんは手足の震えや変顔が少し増えているような気がします。さらには寝る前とかに手をぎゅーっと握らされる、というのも増えました。前ほどはひどくはないけど、もういなくなるというのは、遠い願望なのかもしれません。ただ先生的には「時間の問題」らしいです。だから本当に私にできることは、ただ待つということだけなんだと思います。