幽霊に取り憑かれた花子

統合失調症患者の妄想と現実

詩「自由」。幽霊さんがいなくなって、ようやく外に出られる、嬉しくて涙。

 こんにちは。花子です。

 

 まずは詩です。

「自由」

かつて私は自由じゃなかった

学校も行かなくてよくなったし、仕事にもいかなければならないわけでもなかったのに、だ

親は私を自由にさせてくれた

この社会だってたぶん私を自由にしてくれていただろう

それでも私は自由なんかじゃなかった

 

自由を追い求め、とうとう自由って何なのか分からなくなった

この世にあるつらさや苦しみ、めんどくさいことやわずらわしいこと、そういったものから解放されて、楽しみや喜びしかない、そんな状態を自由と言うのかと思った

それとも喜びや楽しみさえも解放の対象となるのだろうかとも思った

 

自由って何もないことなのか?

何もないところ、人はそんなところに憧れを抱くのだろうか

いや抱かないだろう

そんなものが自由だったら、誰も自由なんて追い求めないはずだ

もしかすると私は何もない状態になってみて、それが自由だと思い込みたかったのかもしれないけど、そんなもの本当に望んでいただろうか

 

結局私は自分から解放されたかったのだと思う

自分自身を色んなもので縛りつけていたのは自分だった

自分で自分の首を絞めていたのだ

それに気づかず、気づいていたとしても、どうしていいか分からなかった

 

私は自分を苦しめている自分から自由になりたかったのだ

だから昔の私は苦しんでいる人はみんな自由を求めているのだと思っていた

苦しい状態から抜け出せたら、自由になれるのだと思っていたのだ

とどのつまりは自由を求めていたというより、苦しみから解放されたかっただけなんじゃないだろうか

 

苦しみから解放された今思うことは、別に自由じゃなくてもいいということだ

逆に自由な方がつまらないかもしれない

何でも自分の思い通りにできたら、できない苦しみを味わうことができないし、やりがいを感じることもできないだろう

それでもちょっと自由というものに憧れたりする

 

そもそもいつから自由を追い求めるようになったのだろう

いつから不自由を感じるようになったのだろう

自由は多くの人が追い求めてきた

だが最後には自由になんかなれないのだと悟った人は多いと思う

 

色んなことを自由にできるようになった今の私でも、制限されていることは多い

例えば、お金がないから自由に飲み食いできないし、日が沈むから夜は自由に外に出られない

地球が回っているから朝や夜があって、人間は夜寝て朝起きるというのが自然な生き方だ

寝たい時に寝て、食べたい時に食べたいものを食べるなんて、いつもいつもそうできるわけではない

時には眠たくもないのに寝なければならないし、眠たくなっても起きていなくてはいけないし、本当に自由なんてそうそう許されるものではない

 

街を歩いていて、良さそうな飲食店があっても、家族をおいてひとりだけ入るなんてこと、私にはできない

こういう時、もし私がひとりだったら、自由に新しいお店にでも出入りできるのに、なんて思ってしまう

本当は家族がいるからって、自由が制限されるわけではないのだが

 

誰も「君は自由になんかなれない」なんて言わないし、家族が私を縛りつけているわけでもない

自由になれないのは私の思いがそうさせているからだ

自分で自分を縛りつけているのだ

 

でも今はもうそんな自分を否定するつもりはない

自由になれない、そんな生活を望んでいるのは私だ

自由にできず、時には我慢しなければならない

でもそんな日々を楽しんでいたりする

制限されている中で工夫して生きるのも、案外楽しかったりするのだ

 

自由、今の私はもう自分から自由になれた

それだけでもう追い求めていた自由は手に入ったんじゃないだろうか

でもやっぱり不自由でもある

あとはこの不自由さをどう楽しめるかだ

それで私の人生は充実したものになるんじゃないだろうか

 詩はここまでです。

 

 さて、いつものです。

 病院での生活は暇なことが多い生活でした。だから私は詰所に行って看護師さんと話をしたり、仲良くなった患者さんとトランプをしたりしていました。

 看護師さんは担当の人以外に気に入った人が3人いました。全員男性なのですが、みんな優しい人達だったので好きでした。Tさん、Mさん、Iさんです。

 ある日その日の担当がTさんだった時、外に散歩に出ました。前に別の看護師さんと行った時はまだぞわぞわ感もあり、早くこの状態から抜け出したいとしか考えていなかったので、外に出たという実感が湧きませんでした。しかしこの時はもう体の異常がなく、やっと外に出られたという感じがしました。だから思わず嬉しくて涙が出ました。するとTさんは

「よかったら僕の袖で拭いて」

と言って、ダウンジャケットのつるつるした袖を貸そうとしてくれました。私は

「それじゃあ全然涙を吸いとらないじゃないですか」

と言って、断りました。

 それから近くのお寺に行きました。門の下のところを踏まずに跨いだら、Tさんが

「踏んだら駄目だって知ってるの?」

と訊いてきました。私は

「当たり前じゃないですか。常識ですよ」

と言いました。するとTさんは

「僕最近まで知らなかったよ」

と言いました。

 神社を出て、

「道に迷っていい?」

とTさんが訊いてきました。私はTさんと一緒なら大丈夫だろうと思ったので、

「はい」

と答えました。ちょっと離れたところにあるお寺を目指したのですが、やっぱり遠いので引き返してきました。病院には無事に帰ってこれました。

 今日はここまでです。

 

 最近の幽霊さんは特に変わりありません。震えもだいぶ減りました。ただまだ全く出てない日が1日あった、というところまではきていません。もう少ししたらきっとなくなる、いつだってそう思って毎日を過ごしています。