幽霊に取り憑かれた花子

統合失調症患者の妄想と現実

詩「幽霊④」。幽霊さんがいなくなって、看護師さんと話したり、ラジオ体操をしたり。

 こんにちは。花子です。

 

 まずは詩です。

「幽霊④」

幽霊さんは私を殺しにかかっている

自殺する一歩手前のところまで私を苦しめて、自殺しそうになったらいやがらせをやめる

もうこれ以上やったら私が自殺してしまうというのは分かったのだろう?

だから自殺する直前まで苦しめて苦しめて苦しめぬく

それが幽霊のやっていることだ

 

これからもずっと、幽霊さんは私の中にいて、私を苦しめ続けるのだろうか

そんなんだったら、私の人生はめちゃくちゃだ

幽霊のせいで生きていられなくなりそうだ

そんなことしたら、幽霊の思うつぼじゃないか

私がもう生きていたくないと思うほど苦しんだら、幽霊は嬉しいのだろう?

 

本当に殺す気はないのだろう

本当に殺す気があれば、もうとっくに私は飛び降りさせられているよ

幽霊だって生きていたいんだろう?

いなくなってほしいと思われても、私の中にいるのは、生きていたいという思いが誰よりも強いからなのだろうか

 

幽霊がいなくなっても、これっぽっちも寂しくならないよ

せいせいするだけだよ

そしていつかどこか懐かしく思い出す時が来るのだろう

ああ、早くそういう日が来てほしい

 

幽霊さんが入って来てくれたからこそ今の私がいる

それは事実だ

でももう必要なくなった

幽霊はもう不要になったのだ

幽霊のいやがらせがないだけですごく楽しい

幽霊さえいなくなれば、私の人生はすごく良いものになるだろう

 

本当は幽霊なんて信じていないんだ

幽霊がこの世にいるとか、天国とか地獄とか、そんな見たり感じたりできないもの信じてないんだ

でも私の中には確実に私でないものが入り込んでいる

それはたぶん幽霊なのだろう、と思った

そして幽霊は確実に地獄に落ちる

幽霊にはいつか必ず天罰が下るよ

そう思わないと生きていけない

 

信じてないけど、100%ないとも言えない

もしかしたらあるのかもしれないけど、人間が作り出しただけのもののような気もする

これが幽霊じゃなくて、ただの病気なら治るのに

 

人殺しはしたくないけど、幽霊だけは殺したい

自分を殺すのはもう嫌だ

幽霊に殺されかけるのももうごめんだ

今度あったら、たぶんもう生きて返ってこれない

 

生きていきたい、自然と死が訪れるまで

幽霊のいない自分だけの体を取り戻したい

いつかきっとそんな日が来るよね

 詩はここまでです。

 

 さて、いつものです。

 私が入院したのは解放病棟でした。とはいえ勝手に自由に出入りできるわけではありません。入り口に座っている看護師さんや職員さんに声をかけてからじゃないと出られませんでした。人によって主治医の先生に誰とどこまで出てもいいかなどが決められていて、入り口の人はそれを見ながら誰がどこまで行くのかメモしていました。

 ある日幽霊から完全に自由になった私は、そこに座っている看護師さんに声をかけてしゃべろうと思いました。しゃべっている中、この看護師さんは

「私もあの場にいたんだけど、もうあんなこと絶対にしないでね」

と言いました。自殺未遂のことを言っていたのです。この時まだ私は自分が自殺未遂したとは知らず、何のことを言っているのかさっぱりわかりませんでしたが、

「はい」

と答えました。

 だらだらと寝ているばかりの今の自分からは考えられませんが、この時は夜寝て朝に起きていました。気が張りつめていたのだと思います。昼間の眠気もほとんど感じませんでした。

 まだ幽霊のいやがらせがあった頃は、ブラジャーをつけずに寝てばかりいました。幽霊がいなくなってからブラジャーのことを思い出し、それからはつけていました。女性の看護師さんに

「ずっとブラジャーつけてなかったんです」

と言うと、

「それは恥ずかしいね」

と言われました。治ってくると気がいかなかったことにも気がいくようになったのです。

 毎朝、たぶん朝食後だったと思うのですが、看護師さんがお手本になってラジオ体操をしていました。ある看護師さんがよくラジオ体操に参加していたので、

「ラジオ体操好きなんですか?」

と訊くと

「いやー、体を動かしておいた方がいいかと思って」

と言っていました。

 ラジオ体操の後、看護師さんがホワイトボードを見ながら、今日は誰がどの担当で、とかを言う時間がありました。いつも何人か患者さんがいて、看護師さんの話を聞いていたのですが、たまたま誰もいない時があって、看護師さんが

「誰もいない、、、」

とつぶやいたので、前を通り過ぎようとしていた私は立ち止まって聞くことにしました。そうしたら看護師さんが話している間に何人か来て、私ひとりではなくなりました。

 今日はここまでです。

 

 最近の幽霊さんはあまり出てこなくなりました。机に向かってる時の左足の震えがほとんどないのです。でもこの前デイケアの看護師さんに見せるための詩を清書しようとしたら、文字を書けなくさせられて、清書ができませんでした。前にもありましたが、前よりはひどくないと思いたいです。この前は机に小さな穴を空けさせられました。もうそんなことはなくなっていくのだとは思うのですが、、、。