幽霊に取り憑かれた花子

統合失調症患者の妄想と現実

詩「頑張りたい」。ぞわぞわ感がまだとれない。患者さんから話しかけられる。

 こんにちは。花子です。

 

 まずは詩です。

「頑張りたい」

頑張りたい

何かに向かってがむしゃらに頑張りたい

それ以外のことは何も考えられないくらい夢中になりたい

頑張りたいけどしんどい

楽になりたいけど頑張りたい

でも頑張れない

 

頑張れてるかな?

頑張れてる気がしないのは成果が出てないからだろうか

何か結果が出せれば頑張れてることになるのだろうか

報われない努力は努力と言わないのだろうか

 

でもやってることは同じなんだよ

誰に認められなくても、頑張ってるし、努力だってしてる

努力してないと怖い

頑張ってないと生きていてはいけない気がする

 

なんでも頑張れるような気がしていた

どんな結果になろうとも努力だけはできると思っていた

でも努力すらできなくなった

頑張りたいのに、何もしたくないという気持ちの方が勝ってしまうことがある

何の罪悪感もなしに何にもしない時間を過ごせたらいいのだろうけど、何もしないことはなんかちょっと怖い

 

でも何をどう頑張ったらいいのか分からない

どうなったらいいのか分からない

“いい”というのがどういうことなのか分からない

人から認められればいいのか、自分の中で満足できればそれでいいのか

何を“いい”と言うのだろう

 

かつては嫌なことでも頑張ってやっていたら、きっと良いことが待っていると思っていた

でもなかった

頑張っていたことがなくなっただけだった

 

「頑張ることなんてバカバカしい?」

「でも私は頑張りたいの」

「頑張ったって何にもならないよ」

「本当にそうなの?」

 

どうしたらこれでいいと思えるのだろう

これでいいのかって不安になるけど、どうしたら不安がなくなるのだろう

怖い、未来が真っ暗で怖い

分かっていることは人は必ずいつかは死ぬということだけだ

 

何に向かって努力するのか

死に向かって努力するのか

いや私は生に向かって努力したい

たとえいつか死ぬとしても、それまでの生きてる間の生きるということを頑張りたい

 

未来は見えているようで見えていないの

頑張っていたらいつかきっと報われるよ

本当にそうなのかは分からない

でも私はどんな形になるか分からないけど、努力が報われるように頑張りたい

一日一日を頑張って生きていこうと思う

それしか私にできることってないんだもの

 詩はここまでです。

 

 さて、いつものです。

 いつからいつまでかは忘れましたが、自殺未遂の後だったと思います。私は胸に詰所にあるモニターと無線でつながった小さな機械をつけられていました。幽霊のいやがらせがぞわぞわ感に変わった後もまだつけていました。

 この時私は動かずにはいられなかったので、病棟内を歩き回っていました。この機械をポケットに入れて歩いていたのですが、ズボンによって胸にテープでつけられたものがとれやすかったりしたので、よく

「花子さん、とれてない?」

と訊かれて、女性の看護師さんにつけ直してもらっていました。

 この機械は詰所のモニターに心電図のようなものを映す機械だったと思います。また自殺未遂したらすぐに分かるようにつけられていたのでしょう。

 ぞわぞわ感がひどかった時、私は拘束がなくなっていたので、病棟内を歩き回ったり、ひとり掛けのソファーに座ってテレビを見たりしていました。点滴を持ちながら歩いていたため、患者さんのひとりに

「点滴病だ。すぐ治る」

などと言われました。この人はテレビに向かってしゃべっていた人なのですが、時々私にも話しかけてきました。

 耐熱用のコップをこの時はまだ持っていなかったので、看護師さんに借りていました。食事の後そのコップをデイルームの机の上に置いていたら、この患者さんが

「これ誰の?」

と訊いてきました。私は

「私のです」

と言って、そのコップを持って行こうとしました。その後すぐにこの人の担当らしき医師がこの人に

「誰と話してるんですか?」

と訊いて、この人は私の方を見て

「あの人と」

と言っていました。本当はほとんど話なんかしていなかったのですが。

 もうほとんど覚えていないのですが、食事もだんだん変わっていったと思います。流動食すら満足に食べられなかったのが、それを完食できるようになり、おかゆから入ったのでしょうか、とにかくぞわぞわ感がなくなる頃には完全にみんなと同じ食事になっていました。食べる場所も詰所からデイルームへと変わっていきました。

 今日はここまでです。

 

 最近の幽霊さんは、まだちょっと寒い時に全身をガクガク震わされます。朝起きるとすぐにガクガクなのです。今までは幽霊さんも無我夢中でいやがらせをしてきましたが、このあたりでちょっと自分を振り返ってみて、「ああなんて僕は花子さんにひどいことをしてきたのだろう。もうこれからは絶対にいやがらせはしないし、何なら今すぐにでも出ていきたい」と思ってくれないかな、なんてことを思ったりします。この前はちょっと思考を止められたりもしました。もうすぐなんて、いつから書いてるか分からないほど書いてきました。今度こそもう少し、、、。

 

ツイッターもよろしくお願いします。

https://twitter.com/6u6xvqTVKUkchYq