幽霊に取り憑かれた花子

統合失調症患者の妄想と現実

フレンチトーストを食べてから、アルバムを見よう。K君からのいやがらせ、壮平さんが駅に来るような気がする。

 こんにちは。花子です。

 

 ちょっと前の話になります。これは先週ではなく先々週の話です。

 この日は父の仕事場兼実家にお寺さんが来て、棚経を上げてくれることになっていました。だから私と母も一緒に父の家に行って棚経に立ち会おうということになりました。父の家はもう老朽化が進んでいて、仕事も少なくなってきてるし、父ももう歳で、跡を継ぐ人もいないし、などと色々重なって、あと3年ほどで手放すことになりました。だからそれまでに父の家を掃除して整理しようと思って、まず思いついたのがアルバムの整理です。過去の写真を母と2人で見て、笑い合ってから処分しようと母が言い出しました。私も見たかったので、いい提案でした。

 棚経の前にちょっと有名な喫茶店で軽い食事をすることにしました。前にデイケアで知り合った人から教えてもらったメニューです。その人はその喫茶店でプリンを頼み、一緒に行った人が頼んだフレンチトーストを分けてもらったそうです。そうしたら予想以上においしかったらしく、なんでフレンチトーストにしなかったんだろうと悔しかったそうです。だから私達もフレンチトーストを食べにその喫茶店へ行きました。行ったらすぐに席に案内してもらえて、メニューを見てびっくり!!フレンチトーストとコーヒーで1200円なのです。フレンチトーストはすごくおいしかったけど、たぶんもう行けません。店を出たら店の前に人がいっぱい並んでいて、私達は運が良かったんだなぁと思いました。

 棚経が終わって、母とアルバムを見ていました。そしてちょっと休憩して、仮眠をとることにしました。私は母より先に起きて、父が持ってきてくれた私の幼い頃の写真を1人で見ていました。すると昔の楽しかったことが思い起こされて、起きてきた母に

「昔はよかったね。何も考えずに、無邪気で」

と言いました。それを聞いた母は私がかわいそうに思ったらしく、泣き出してしまいました。言わなければよかったかなと思ったのですが、後の祭りです。私にはかける言葉が見つかりませんでした。しばらくすると母も普通に戻ってきました。もうあの頃は良かったなんて言わないことにします。今だって良くないわけではないのですから。

 

 さて、いつものです。

 また非現実的な世界に浸ることになります。

 ある日のこと、幽霊が私の体を思いっきり殴ってきました。グーの手で足を殴られたり、爪でふくらはぎのあたりを引っ掻かれたりしました。思いっきり殴るので、ドンドンと大きな音が出ていました。それを聞いた兄が

「整理してるのか?」

と訊いてきました。私は

「うん」

と答えました。

 この時は理解してもらおうという気には不思議となりませんでした。K君がやっていると思っていたのです。K君に殴られているとは言えませんでした。頭のどこかで信じてもらえないだろうという考えがあったのだと思います。この時はまだの子さん達のことを言う勇気はありませんでした。なんとなく秘密にしておかなければならないことのように感じていたのです。

 このことがあってK君は私の中でさらに悪い人になっていきました。なにせ幽霊のいやがらせはすべてK君の仕業だと思っていたのですから。

 洗い物をしていた時、また誰かが私に会いにきてくれるのだという思い込みが出てきました。それは小山田壮平さんなのだと思いました。頭の中で壮平さんが来ると言っているような気がしたのです。だからまたK駅に行きました。

 駅に着いてまず新幹線の改札前に行きました。ショーウィンドウのケーキとかを見ながら、頭の中で誰かと会話していたように思います。しばらく待ちましたが、来る気配がないのでそこを離れました。それからかわいいおみやげものを見たりしていました。

 ちょっとお腹が空いていたので、マクドナルドでポテトを150円で買いました。全サイズ150円セールだったのです。駅の近くで腰かけて、ハトを見ながら食べました。

 今日はここまでです。

 

 最近の幽霊さんは前よりちょっとマシになっているような気がします。ぬか喜びすることになるのかもしれませんが、手足の震えが減っているのです。最近だいぶ生きるのが楽になってきました。ここ2、3日早起きができるようになっています。幽霊さんのことを思い出しても、もうつらくありません。気分は結構いい方です。このまま良くなっていって、仕事なんかできないかななんて思っています。とりあえず今は晩ご飯作りを、デイケアに行ってる日以外は、欠かさずできるようになることを目標に生きたいと思います。