幽霊に取り憑かれた花子

統合失調症患者の妄想と現実

一人暮らしを計画していた。詩「幅を持つ」。外来での診察(1回目)。

 こんにちは。花子です。

 昔、高校卒業してすぐの頃、私はみんなと同じ道に行けず、ひとりで苦しんでいました。そして自分の思いを書いて、なんとか自分を奮い立たせようと頑張っていました。その中で自分の思いを書いていくうちに、自分には才能があるんじゃないかと思うようになりました。「私には思う才能がある」そう思ったのです。

 詩のようなものを書くようになりました。初めは全く形にならずにただ思いつくままを描いていました。でも私にはきっとできるはず、そう思って書くことはやめませんでした。一度詩の賞に応募したことがありましたが、一次選考までしかいきませんでした。でも私には才能があるのだと思っていたので、絶対賞が取れるとばかり思っていました。父母にも私は大賞を取るのだと言っていました。母は「意味が分からない」と言い、父は「そんな予感がするんだね」と言いました。でも結局母の言う「意味が分からない」というのが現実となり、私は賞が取れないまま、密かに計画していたことも崩れていきました。

 何を計画していたか、それは一人暮らしです。この頃は酷い反抗期で、父と、特に母と、うまくいっていませんでした。とりあえずひとりにならないといけない、そうじゃないと私は生きていけない、そう思って一人暮らしを計画していました。電気屋さんに家電を見に行ったり、家具屋さんでテーブルを見たり、調理器具などを見たりしていました。どこかでもらったカタログを見て、これを買って、こんな部屋にして、などと考えたりもしていました。お金を稼げるあてもないのに、とにかくこの家から出て、どこか安全なところに行かなければ、というのがその時の私の頭の中にある考えでした。そのためには詩で大賞をもらうくらいしか私にできることはないと思っていたのです。

 詩で大賞をもらいさえすれば、私は詩人になれるのだと、本を出版できるのだと、そんなことを思っていました。でもあの時の私にそんなことできるはずもありません。今の私ですら無理なのに、あの時は本当に現実が見えていませんでした。私には才能がありません。ただ自分を慰め元気づけるために文章を書いているだけです。そしてそれだけで終わらせる方が、私にとってはいいことなのだと、最近になってようやく思えるようになりました。前から薄々は気づいていました、私には有名になることはできないのだと。でも認めたくありませんでした。今はたぶん現実を受け入れられるようになっているでしょう。私は今の生活をただ守っていきたいだけなのです。

 

 それでは詩です。

「幅を持つ」

あの時先生に言われた「幅を持て」という言葉の意味をずっと考えています

私が「自分って極端だなーって思った」と言うと、そう言いましたよね

自分のことながら、どうして自分が極端に思えたのか、今となっては分かりません

端っこだけじゃなく、間もある方がいいという意味ですか?

でも先生はいったい私の何を知っていたのですか?

私には幅がないように見えたのですか?

 

幅なんて持てなくたっていいじゃないですか

極端でもいい、そのままの私でいいんだと言ってほしかったのです

先生は先生だから、アドバイスをしたいと思ったんでしょう

それがどんなに人を苦しませるか分からずに

 

私だって自分のことを分かっていたら、人に助けなんて求めなかったのです

でも自分のことを分かってないことも分かってないくらい、自分を知らずにいました

そんな私を助けたいと思ったのでしょうけど、人には私を救えませんでした

自分で自分を救うしかなかったのです

でも自分でもどうしようもなくて、やっぱり誰かにすがりたいと思っていました

 

物事に幅を持つ

考え方に幅を持つ

そんな言葉で「幅を持つ」が説明できますか?

幅を持っていたら、どんな事にも柔軟に対処できる、ということですか?

今となっては「極端」も「幅を持つ」も分かりません

先生には分かっていたのですか?

 

別に幅なんて持っていなくてもいいのです

いつでも幅のある道なんて行けません

幅があったってなくたって、一本の線の上を歩くことには変わりありません

細い細い道で、体を無理やりねじこんで通らないと行けない道でも、それも道です

どんな道でも通れればいいのです

人生、前を向いて歩いている限り道はあります

今まで私には選べる道はありませんでした

いつのまにかこうなって、ここまで来ていたのです

でもやみくもに歩いていたら、それが道になっていました

 

振り返ってみれば私の道には幅なんてなかったような気がします

選択肢なんてなかったのです

みんなみたいに選べませんでした

私の道はそこにはなかったのです

 

自分の道を探して、まっくらな中、懐中電灯の光一本で進んできました

そこに幅があったかどうかは分かりません

最近ようやく目の前が開けてきました

この先どうなるか分かりませんが、将来のことを考える余裕が出てきました

 

みんなの道とは違うと思っていましたが、みんな違うのかもしれません

私は多くのことを知らずにいました

今でも私は幅を持ててるか分かりません

でもそんなことを気にしなくても生きていけます

私は私の道を行くのみです

 詩はここまでです。

 

 さて、いつものです。

 外来での診察は週に何回かとか全部で何回行ったかとかほとんど忘れてしまいましたが、断片的に覚えてることを書きます。

 退院して1回目の診察です。この前の晩私は風邪をひいて熱を出していました。もう熱は下がっていたのですが、診察中

「大丈夫ですか?なんかしんどそうですね」

と先生が言ったので、

「熱が出てたんです」と言うと、

「そういう時は電話で言ってくださいね」

と言われました。

 それから私は働けるものなら働きたいと思っていましたが、本当は働きたくなかったので、先生に

「働きたくないです」

と言いました。すると先生は入院中はあんなに頑なにデイケアに行くことを勧めていたのに、コロっと態度を変えて、

「働きたくないんですか。それじゃあデイケアに(私が行かないことを)伝えておきますね」

と言いました。私はその態度の変わり方に拍子抜けしました。

 今日はここまでです。

 

 最近の幽霊さんは一度だけ脳内をかき乱されるようなことがありました。うまく説明できませんが、まともにものを考えられなくなるのです。言葉が浮かんで、それがゆっくりになって繰り返されて、途中で切れてまた違う言葉が浮かんできて、と言う感じで、しんどくなりました。幽霊さんを除霊できる方法があれば知りたい!!待つしかないのかなぁ。