幽霊に取り憑かれた花子

統合失調症患者の妄想と現実

芸術祭の作品が完成した。の子さんに会いに行かなければ。

    こんにちは。花子です。

 

    まだ先の話ですが、障害者の芸術祭があります。そこへ出品する作品ができあがりました。書道の作品なのですが、一年半ほどかけてできあがりました。何を作ったかと言うと、日めくりです。31個の言葉を考え、筆ペンで書き、その言葉の解説をボールペンで書きました。書の部分はいつもデイケアに来てもらってる、ボランティアの先生にお手本を書いてもらって、書きました。それに時間がかかったのです。書道の時はいつもそうなのですが、まず自分で書きたい言葉を書きます。それを見て先生がお手本を書いてくださるのです。ですがお手本を見て書いているのに、先生みたいにうまく書けないのです。それでもそれをコピー用紙の上半分に書くという作業を終え、色画用紙に数字を書いたものと解説文を貼って、ちょっとした絵を描き、一番上の穴を開ける部分を補強するために製本テープを1枚ずつ貼り、穴を開けて、プラスチックの輪を通し、そこに竹の棒を通して、棒にひもをつけて完成しました。長い大変な作業でした。やっぱり一番大変だったのは書を書くところでした。同じデイケアに来ている人にすごく上手い人がいるのですが、謙遜して上手くないというのです。でもその人みたいに書けたら、絶対賞がとれると思うのですが、なかなかです。それでも31個の言葉と解説を書いたのですから、中身を見てくれたら嬉しいのですが。ちなみに母は絶対知事賞だと言っています。それをデイケアで言うと聞いてた人は笑っていました。また父と母と3人で見に行きます。早く結果が出ないかなぁ。楽しみです。

 

    さて、いつものです。

    しばらくガラスの前で上着を脱いだり着たりしてから、また駅へ戻りました。それまでは駅の南側を歩いていたのですが、今度は東の方へ行くことにしました。タクシー乗り場の地図を見ていたら、視線が東の方へ行ったのです。

    の子さんが連れて行ってくれるような気がしました。視線の向く先にの子さんがいると思ったのです。途中また今の私の行動は12時間前のの子さんの行動なのだと思い、私がとる行動と同じことをの子さんはしていたのだと思い込みました。

    小さな橋の欄干に腰かけ、の子さんも12時間前にこんなことをしていたのだと思いを馳せ、の子さんの思いを想像したりしていました。雨が少し降っていました。でもの子さんは12時間前にここにいた時、雨が降っていなかったので傘はさしていなかったのだと思い、私は傘をさしていた記憶もあるのですが、雨に濡れていたような気もします。

    その橋からちょっと行ったところに空き地があって、そこで私の体はぐるぐると回りました。幽霊がやっていたことなのですが、この時は何も知らずに、ただの子さんがこんなことをしていたから私の体も回るのだと思っていました。頭の中での子さんに

「今私の体はぐるぐる回っています」

と言っていました。そうすると頭の中でつながっていると思っていたの子さんはやめてくれるのだと思ったのです。

    そこでしばらく幽霊に苦しめられたのち、空き地を出て道を歩きはじめました。大きな橋を渡り、高架下まで来ました。私はそこでちょっと休憩しようと思いました。

    なぜ持っていたのか分からないのですが、その場所で過去のノートを見ようと思いました。ちょっとでもの子さんに私のことを分かってほしいと思っていたのです。このノートは過去に調子を崩していた時に書いた心のノートでした。このノートのおかげで私は元の自分に戻れたのでした。ノートを見ながら私はの子さんと交信しているつもりになっていました。幽霊が私の首を横に向けて笑うのです。だから私の思うことはの子さんに通じているのだと思い込みました。の子さんが私の横にいるから、横にいるの子さんの方を向けば自然と顔が笑顔になるのだと思っていたのです。

    の子さんとの交信に夢中であまり何も食べていませんでした。だからの子さんが私を心配して何か食べろと言っているような気がして、この時持っていたカロリーメイトか何かを食べました。そこでしばらく交信していましたが、の子さんに会いに行かなければと思い、また歩き出しました。

    今日はここまでです。 の子さんに会えずに家に帰るまであと少しです。

 

    最近の幽霊さんは時たま私の体を乗っ取ろうとしてきます。木曜日にデイケアに行ったのですが、午後からのプログラム中ほぼずっと体を震わされていました。それでもなんとかプログラムをこなして、近くにある父の仕事場に行って横になっていたら、治りました。でもそれ以外はあんまり出てきません。詩を清書するのも手を変にさせられることなく書けました。もうちょっとでいなくなると思うのですが、どうなんでしょうね。